有責配偶者の財産分与

有責配偶者とは、離婚に至る原因を作った配偶者のことでありますが、例えば妻が不倫をして離婚に至った場合、有責配偶者である妻から夫に対して財産分与を請求できるのでしょうか?

財産分与の性質には、以下の三つの要素(詳しくは財産分与の基礎知識のページをご確認ください)があり、これらの要素によって有責配偶者からも財産分与を請求できるかが異なります。

  • (1)清算的要素
  • (2)扶養的要素
  • (3)慰謝料的要素

清算的要素

清算的要素(清算的財産分与)は、婚姻中に協力して取得ないしは維持した財産の公平な分配を目的とするものでありますから、妻が不倫をしたとか、夫が暴力をふるったなどの離婚に至った責任とは全く関係ありません。

判例(東京高判平3・7・16)でも「夫婦財産の清算的な性格を有する財産分与は有責配偶者であっても、これを請求し得ると解すべきである」とされておりますので、清算的財産分与に関しては、有責配偶者からも請求することが可能です。

しかし民法768条第3項に「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める」とあります。

「その他一切の事情」ですから、有責性がなかった場合の財産分与と比較して、多少の減額は覚悟したほうがいいでしょう。

扶養的要素

扶養的要素(扶養的財産分与)は、離婚後の生活に窮することが予測される配偶者に対して、離婚後の生計維持のため、経済力のある他方配偶者が経済的に援助する目的があります。

有責配偶者からの扶養的財産分与請求に対してはそれを否定する判例(横浜地川崎支判昭46・6・7)が多く、また扶養的財産分与を認めたにしても金額等を制限する傾向にあると言えます。

例えば、妻が不倫をして夫婦が離婚に至り、その妻は離婚後の生活に困るという場合において、扶養的財産分与が認められないか、金額等が制限されることは、一般的な倫理観や社会常識からして当然のことでしょう。

慰謝料的要素

慰謝料的要素(慰謝料的財産分与)は、相手方の有責性を不可欠の要件とするわけです(悪いことをしていないのに慰謝料は発生しません)から、有責配偶者から請求できることなど当然にあり得ません。

むしろ、有責配偶者から他方の配偶者に対して、離婚の慰謝料を支払わなければならない可能性が高いわけです。

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