専業主婦の財産分与

婚姻中はずっと専業主婦であったから、財産形成に全く貢献していないとして、離婚時に財産分与を受けられないということはありません。

寄与分

財産分与とは、民法768条第3項に「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して」定めるとあり、婚姻中に夫婦が協力して得てきた財産を離婚時に清算(清算的財産分与)することです。

では、一見すると外で目に見える収入を得てこなかった専業主婦は、協力して得てきた財産がないということになるのでしょうか?

ここでいう「協力」とは、外で仕事をして給料を持ち帰ってくることと考える人が多い(特に男性)ようなのですが、そのように目に見える収入のみを指すのではなく、家事労働による「協力」も当然に含まれています。

しかし、給料額のように客観的に判断できる基準が家事労働にはありません。

清算的財産分与の額は、分与対象財産に寄与度をかけることで算出しますので、専業主婦の寄与度はどの程度なのかが問題となります。

しかし、専業主婦と言っても、各家庭で仕事内容にバラツキがあり、誰が見ても大変な働き者で「家のことは全てやる」専業主婦もいれば、まあまあ頑張っている専業主婦、専業主婦とは名ばかりで、ただ家でゴロゴロしているだけの人もいるでしょうから、原則として家事労働をしていた専業主婦の寄与度があることは間違いないものの、それをどの程度とするかは非常に難しい問題です。

これらのことから「専業主婦の寄与度はどの程度か?」との疑問には、確たる答えがあるわけではありません。

ケースバイケースで判断するしかないのが実情で、20%程度のものもあれば、寄与度を平等(50%)としたものもあります。

判例

ある判例(東京高裁判昭50・6・26)では「妻の家事労働のうち代替的労働は、婚姻生活共同体維持のため婚姻費用分担の一形態として労務を提供するもので、第三者を雇った場合に支払うべき賃金を免れる関係にあるから、婚姻を継続する限り清算を要しないが、離婚にあたってはそれを金員に評価し清算すべき」としています。

つまり、家事労働のうちの代替的労働を婚姻費用分担の一形態とみて、「第三者(家政婦さんなど)を雇った場合に支払うべき賃金」に置き換えて評価しているわけです。

その他、夫が医療法人の理事長として医療施設を経営し多額の資産を有する事例で、専業主婦である妻の寄与度を約20%とした判例(福岡高判昭44・12・24)があります。

また、夫(内縁)の個人的技能と才覚によって学院の経営から喫茶店の経営に発展して財産が築かれたとして、専業主婦である妻の寄与度を25%とした判例(岐阜家審昭57・9・14)があります。

これらは夫の特別な能力、専門的知識、努力がある場合で、夫婦の寄与度に大きな格差を認めている判例です。

他方で、同居期間約27年で夫は会社役員、妻は専業主婦(子供二人)という事例では、寄与度を平等(50%)とした判例(東京高判平8・12・25)もあります。

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