養育費の金額

夫婦が離婚した後であっても、親権者であろうが親権者でなかろうが、子供の親であることに変わりはありませんので、未成熟子を扶養する義務があります。

この未成熟子を扶養するための金銭を養育費といい、養育費は子供の将来のためにも離婚時に明確に決めておかれるべきです。

しかし、一般的に養育費をもらう側は少しでも高い金額をもらいたいと思うものですし、養育費を支払う側はあまり高額を支払いたいとは思わないものですから、養育費の額について父母双方の主張が合致することは容易ではなく、なかなか話がまとまらないことも多いです。

上記のように養育費の額についての話し合いが容易にまとまらない理由は、養育費についての理解が不足していることにあります。

そのため、養育費の金額を決めるにあたって養育費を支払うべき期間、どこまでが養育費の範囲かであるかということ、養育費の算出方法等を夫婦双方が把握しておくことが、養育費についての話し合いを短期間で終わらせるコツと言えます。

支払うべき期間

子供が未成熟子である間は、養育費を支払わなければなりません。未成熟子とは社会人として自立するまでの者で、未成年とは必ずしも一致しません。

そこで、子供をいつまで未成熟子とするかによって、養育費支払いの終期は異なります。

子供が高等学校を卒業するまでとした審判例(秋田家審昭48・10・22)、子供が成年に達する日までとした審判例(大阪高決昭57・5・14)、子供が大学を卒業するまでとした審判例(大阪高決平2・8・7)など審判例も分かれております。

この理由は、父母の学歴、生活レベルなどの教育水準、経済水準により個別に判断されているからです。

よって、一般的には父母がともに高卒の学歴であるならば、子供も高等学校を卒業した後は社会人として自立する可能性が高いとして、子供が高等学校を卒業する年齢時まで養育費を支払う旨の合意がなされることが多いです。

逆に父母がともに大学を卒業しており、生活レベルも高いような家庭であった場合は、子供が四年制大学を卒業する年齢時まで養育費を支払う旨の合意がなされることが多いと言えます。

範囲

親の未成熟子に対する扶養義務の範囲は、衣食住の費用、教育費、医療費、娯楽費など、子供の文化的生活に必要なすべての費用に及びます。

教育費とは、入学金や授業料、部活動にかかる費用などを意味しますが、公立の学校に進学する場合と私立の学校に進学する場合では、入学金や授業料において相当な差が出てくることになるでしょう。

こで、私立学校の費用まで養育費の範囲に含まれるかは、親の資力や社会的地位によって判断されることになります。

なお、月々の養育費とは別に教育に関する費用を必要に応じて支払う旨を合意することもよくあります。

このような合意があった場合、教育に要する費用とはどこまでか?ということが問題になりますが、運転免許取得費用(自動車教習所の費用)は教育費には含まれないとする判例(東京地判平4・2・28)やピアノレッスン費用は教育費に含まれないとする判例(広島地判平5・8・27)があります。

算出方法

養育費の算出方法には、生活保護基準比率方式や養育費算定表を用いたものなど、様々な方法がありますが、現在の主流は養育費算定表を用いた算出方法であり、家庭裁判所の実務でも活用されています。

この養育費算定表はこちらの裁判所のサイトで確認することができます。

養育費算定表の見方は簡単で、まずは子供の年齢と人数に合った表を探します。例えば、16歳と10歳の子供がいるのであれば、表4という具合です。

次に、義務者(養育費を支払う側)の年収と権利者(養育費を受け取る側)の年収が交わる場所を探して、そこに記載されている金額が一般的な養育費の額となります。

例えば、義務者(養育費を支払う側)の年収が600万円、権利者(養育費を受け取る側)の年収が250万円、16歳と10歳の子供がいる場合ですと、養育費は月々6万円から8万円となります。

この養育費算定表における年収とは、給与所得者(サラリーマン等)の場合は源泉徴収票の「支払金額」という欄で、自営業者の場合は確定申告書の「課税される所得金額」という欄です。

また、児童扶養手当、児童手当、実家からの援助金等については、養育費算定表を用いて養育費を算出するにあたり、年収に加算しません。

なお、この養育費算定表は非常に簡単に一般的な養育費を算出できる便利なものではありますが、各家庭によって子供の養育にかかる費用は異なります。

例えば「子供が小さい間は、外で元気よく遊ぶものだ」という教育方針と、「子供が小さい間こそ、英語やピアノを習って、いろいろなことを吸収すべきだ」という教育方針では、養育にかかる費用は全然違ってくるでしょう。

ですから、養育費算定表にある養育費の額に拘束されるのではなく、離婚時において子供の将来の教育方針等を夫婦間でよく話し合ったうえで、養育費算定表も基準にしながら、養育費の額を決めるという方法が子供のためになると考えられます。

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