養育費額の変更

養育費は、一般的に離婚時における父母の収入、収入の見込み、生活状況等に応じて月々支払う額を定めます。

しかし、養育費算出の基礎となった事情に変化が生じ、取り決めた養育費の額が実情に合わなくなった場合には、養育費額の変更を求めることが可能です。

その根拠は「扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる」という民法880条にあります。

そのため、養育費を支払っている側で減額を希望する場合や、養育費を受け取っている側で増額を希望する場合には、相手方に対して協議を申し入れ、そこで話がまとまらない際には、家庭裁判所の調停又は審判を申し立てることができます。

変更が認められる場合

養育費額の減額や増額が認められるためには、基準とされた事情に変更が生じ、従来の協議又は審判の内容が実情に適合せず、不合理・不公平となった場合に限られます。

この事情の変更は、父母の収入等の変化や再婚等が挙げられますが、養育費額の変更が認められるには、養育費を決定する際に予測されなかった、前提とされなかった事情の変更があることが必要であり、予見し得た事情がその後現実化した場合には、原則として事情変更があったとは認められません。

  • ※参考判例1 (山口家審平4・12・16)
  • 養育費を支払っている父親の収入が激減し、その父親が再婚して二人の子供をもうけるなど、生活状況が大きく変化したことが明らかであるとして、養育費の額を減額しました。
  • ※参考判例2 (東京家審平2・3・6)
  • 父母双方が別の相手と再婚し、子らが母親の再婚相手と養子縁組をしたことは、養育費の合意がなされた当時予測しあるいは前提とし得なかったとこと解されるので、事情変更の原則又は民法880条により合意の変更が許されるべきである。

当事者の身分関係が変わった場合

支払っている側の再婚

例えば、離婚の際に母親が親権者になり、父親が養育費を月々支払うという取り決めをしたとします。

このような場合において、父親が再婚したら、父親が支払う養育費はどうなるのでしょうか?

夫婦は離婚したら赤の他人になりますが、夫婦の離婚によって親子の関係には何らの変化もありませんし、親権者であろうが、親権者でなかろうが、親には子供を扶養する義務(養育費を支払う義務)があります。

しかし、父親が再婚することになれば、その父親は再婚相手と前妻との間の子供に対して、生活保持義務(自分と同程度の生活をさせる義務)が生じるわけですが、複数の人間に対して生活保持義務を負う場合には、同居している人間が優先されると考えられます。

よって、養育費を支払っている父親が再婚することによって、父親の生活程度に変化が生じたとすれば、父親と母親との間で養育費についての協議がなされた後に養育費支払い義務者の事情に変更が生じたことになりますので、民法880条に基づいて父親は従前の合意(養育費額)の変更を求めることが可能です。

なお、養育費について再度協議しても父母間に養育費変更の合意ができない場合は、家庭裁判所の調停又は審判を行うことになり、養育費を支払っている側が再婚したことにより、養育費の額を決めた合意時と事情の変更があると家庭裁判所が認めれば、養育費の額は変更(減額)されることになります。

受け取っている側の再婚

例えば、離婚の際に母親が親権者になり、父親が養育費を月々支払うという取り決めをしたとします。

このような場合において、母親が再婚したら、父親が支払う養育費はどうなるのでしょうか?

一般的に母親が再婚しますと、子供は母親の再婚相手と養子縁組をします。

そして、母親の再婚相手は子供と養子縁組をすることにより、養親(母親の再婚相手)の嫡出子となりますので、養親は養子に対して生活保持義務(自分と同程度の生活をさせる義務)を負うことになります。

また、実の父親は子供が母親の再婚相手と養子縁組をしたとしても、法律上の親であることに変わりはありませんから、引き続き生活保持義務を負います。

つまり、子供に対して生活保持義務を負うべき父親が二人いることになるのですが、実の父親と養父では養父の扶養義務の順位が優先されるとの審判例(札幌家小樽支審昭46・11・11)があります。

よって、母親の再婚相手が未成熟子に対して十分な扶養義務を履行できている場合には、実の父親が支払っていた養育費は免除あるいは減額される可能性があります。

この養育費の額について実の父親と母親間で合意ができない場合は、家庭裁判所の調停又は審判を行うことになり、養育費を受け取っている側が再婚したことにより、養育費の額を決めた合意時と事情の変更があると家庭裁判所が認めれば、養育費は免除あるいは減額されることになります。

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