調停離婚

調停離婚とは夫婦双方で離婚自体あるいは離婚条件について合意できない(協議離婚ができない)ときに、家庭裁判所での話し合いによって離婚自体あるいは離婚条件を決めて離婚することだと考えていただければいいと思います。

夫婦間で離婚自体には合意しているものの、子供の親権をどちらにするのか、慰謝料、財産分与、養育費、年金分割等の離婚に関する付随的な問題が解決できないときにも離婚調停を利用することができます。

裁判所というと、裁判官がいて、傍聴人がいて、マスコミがいてなどとお考えかもしれませんが、離婚調停は非公開の小さな部屋で行われ、傍聴人やマスコミが入ってくることはありませんので、プライバシーを侵される心配もありません。

離婚調停とは、あくまでも調停委員を交えての離婚について話し合いをする場ですから、裁判所を利用するといっても必ずしも弁護士に依頼されることなく、ご自身で遂行することが可能です。

調停前置主義

家庭裁判所を利用した離婚というと、一般的には泥沼の裁判を思い浮かべるかもしれません。

しかし、離婚に関する紛争(離婚をするかどうか、親権や養育費等の離婚条件をどうするかなど)の解決に家庭裁判所を利用する場合には、訴訟を起こす前に調停をしなければならないという調停前置主義がとられています。

つまり、裁判で決着をつけたい!と思われる場合(誰も好き好んで裁判をしたいとは思わないでしょうが・・・)であっても、離婚訴訟を提起する前にまずは離婚調停を申し立てる必要があります。

そして、離婚調停(家庭裁判所における離婚の話し合い)を行っても双方が離婚自体に合意できない場合や、離婚自体には合意しているものの離婚条件に合意できない場合に限り、離婚訴訟(離婚裁判)を家庭裁判所に提起することになります。

ただし、離婚訴訟を提起するためには、離婚原因が必要となります。

このように離婚の場合に調停前置主義が採用されているのは、夫婦の問題などの家事事件については、非公開の席上(離婚調停は非公開で行われます)において、当事者がお互いに譲り合うことにより円満かつ自主的に解決することが好ましいと考えられているからです。

効力

離婚調停における話し合いがまとまれば、調停の内容に従い「調停調書」という書面を作成してくれ、まとまらなければ「調停不成立証明書」が作成されます。

この調停調書には裁判で判決を得た場合と同じ効力があります。

裁判で判決を得た場合と同じ効力があるということは、例えば養育費を月々○万円支払うということが調停調書に記載されたとすると、その養育費の支払いが将来滞ってしまった場合、新たに訴訟をすることなく、強制執行(財産や給与を差し押さえること)することが可能になるということです。

なお、離婚の効力は離婚の合意が調停調書に記載されることによって直ちに生じ、調停調書による届出(離婚届の提出)は報告的なものになります。

方法

調停離婚をするためには、夫又は妻から、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所(または当事者が合意で定める家庭裁判所)に「家事調停申立書」を提出するだけです。

この家事調停申立書は家庭裁判所の窓口で入手することもできますし、最高裁判所のホームページ上からダウンロードすることもできますし、記載例が家庭裁判所の窓口や最高裁判所のホームページに掲載されていますので、それを参考にされれば簡単に作成できます。

添付書類は原則として夫婦の戸籍謄本(夫婦は同じ戸籍に入っているはずです)ですが、例えば離婚自体だけでなく、離婚に付随して不動産の財産分与を求めるときなどは、別途不動産の登記事項証明書などが必要となりますので、離婚調停申立て時に家庭裁判所の窓口で添付書類について確認されることをお勧めします。

申立先

上記のように、調停離婚の申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所が原則ですから、例えば夫は沖縄に住んでいて、妻は北海道に住んでいるとしたら、妻から調停を申し立てると、沖縄(夫の住んでいる)の家庭裁判所に申立てをすることになりますが、これは妻にとっては非常に不利なことです。

なぜなら、北海道と沖縄を往復する交通費、時間などで負担が莫大なものになるからです。

しかし、家庭裁判所の裁量で「事件を処理するために特に必要があると認められるとき」は、本来の管轄裁判所でなく、別の裁判所で処理することも認められています。

「特に必要があると認められるとき」とは、上記の例で妻に収入がないのに、調停のために北海道から沖縄の家庭裁判所まで出向かなければならないなど、当事者の経済力などから一方に著しい負担をかける場合などです。

なお、相手方の住所地とは、住民登録地(住民票が置いてある土地)や本籍地とはかかわりなく、各人の生活の本拠がある土地を指しますので、相手方(配偶者)の住民票は大阪市にあるけれども、実際に生活しているのは横浜市という場合の離婚調停の申立先は、横浜市の家庭裁判所ということになります。

費用

また、裁判所を利用するというと莫大な費用がかかるように感じるかもしれませんが、離婚調停にかかる申立費用は1200円だけであり、それ以外に連絡用の郵便切手代金として数千円(申立てる裁判所によって切手代金は異なります)がかかるだけです。

メリットとデメリット

調停離婚の最大のメリットは費用の安さにあります。

手続も簡単なので裁判所に行くからといって弁護士に依頼する必要などはありません。印紙代1200円と郵便切手代がかかるぐらいです。

また、離婚調停は配偶者と顔を合わせずに行われることが原則(一方が調停室に入っているときは、他方は控室で待機しています)なので、夫の暴力や妻のヒステリーに脅えないで離婚の話し合いをすることができます。

逆に、調停離婚の最大のデメリットはとにかく離婚までに時間がかかることです。

一般的に調停を申立てから第1回の調停が行われるまでに1ヶ月近くかかりますし、その後も1ヶ月に1回程度のペースで何度か調停が行われます。そのため、離婚までに半年程度かかってしまうことが多いのです。

また、いくら費用が安く簡単にできるとはいえ、調停で離婚が成立すれば戸籍には「調停離婚」と記載されてしまいますので、協議離婚に比べて「もめて離婚した」という印象があることでしょう。

普通の生活を送っている人にとって裁判所に出頭するというのは、やはり抵抗があるのではないでしょうか。

離婚届提出期限と添付書類

調停離婚の場合、離婚届は調停離婚成立後10日以内に、市役所(区役所、町村役場等)に提出しなければなりません。

また、協議離婚の場合は離婚届を提出するだけでいいのですが、調停離婚の場合は「調停調書の謄本」の添付が必要です。

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