協議離婚

民法763条には「夫婦は、その協議で、離婚することができる」とあり、裁判所等の公的機関を介さなくとも、お互いの話し合いによって離婚ができます。

このような公的な機関を介さずに、夫婦がお互いの話し合いによって離婚する形態のことを協議離婚といい、協議離婚は離婚全体の中で90%程度を占める、最もポピュラーな離婚形態です。

では「協議離婚」における「協議」とは何を指すのでしょうか?

判例や学説によりますと「離婚意思の合致」であるとされています。

よって、一方が離婚をする気が更々ないということであれば、仮に他方の配偶者が離婚届を偽造してそれが受理されたとしても、その協議離婚は無効です。

なお、そのような「離婚意思の合致」がない協議離婚は無効であるのですが、いったん離婚届が受理されてしまいますと、離婚の記載を抹消することは簡単ではありません(家庭裁判所へ離婚無効の調停を申し立てる必要があります)ので、離婚するつもりがないのに離婚届に勢いで署名捺印してしまった場合や、配偶者が離婚届を偽造してでも提出しかねないと感じられたなら、こちらの離婚届不受理申出をされておくことをお勧めします。

成立要件

夫婦は、その協議で離婚することができます(民法763条)。また、民法764条(民法739条の準用)には「戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その(協議離婚の)効力を生ずる」とあります。

つまり、協議離婚は、夫婦双方による離婚意思の合致(離婚の合意)と離婚の届出(離婚届の提出)により効力が生じます。

逆に言えば、離婚届の提出があったとしても、夫婦間に離婚意思の合致がなければその離婚は無効です。

離婚意思の合致はどの時点で必要か

協議離婚は、夫婦間で「離婚意思の合致」があることと、離婚の届け出(離婚届の提出)をすることによって成立するのですが、人間の気持ちはその都度変わることが普通でしょうし、特に離婚という人生の中でも大きな出来事では、気持ちが揺れ動くことも多いと思います。

では、協議離婚が成立する要件である「離婚意思」はどの時点で合致していることが必要とされるのでしょうか?

夫婦で離婚について話し合いをしている段階なのでしょうか?離婚届に署名捺印する時点なのでしょうか?離婚届を提出する時点なのでしょうか?

これは、離婚届作成時点はもちろんのこと、離婚届受理の時点でも、双方の離婚意思が合致していなければなりません。

つまり、離婚届には署名捺印したけれども、やっぱり離婚したくはないと思われるのであれば、離婚意思の合致はないと言えます。

注意点

日本のような協議離婚という簡易な離婚形態がある国は珍しく、諸外国では公的な機関が関与する制度が多いです。

このことはメリットでもあるのでしょうが、一方ではその場の勢いで離婚届を提出してしまうことや、夫(妻)からの強硬な離婚の申出に泣く泣く応じるという弊害もあると思います。

そのため、離婚することだけを決めてその他のことは何も決めずに離婚してしまう夫婦が多く、それはお互いにとって不幸(何らかを請求できる側は損をしていますし、何らかを請求される側は離婚後も請求に脅えなければなりません)です。

ですから、協議離婚する際には、最低限以下の点を決めておかれるべきでしょう。

1 親権及び養育費

夫婦間に未成年者がいて離婚する場合には、いずれか一方を親権者(共同で親権を行使することはできない)としなければなりませんので、親権については離婚前に必ず決めなければなりませんが、その際に養育費についても決めるべきです。

月々の養育費の額は当然のことながら、その支払方法、支払期日、支払終了時期(子供が何歳になるまでなど)を決めたうえで、それを離婚協議書として書面化しておくべきです。

しかし、離婚協議書を作成しただけでは不十分ですので、不払いがあった際には強制執行をできるようにその離婚協議書を原案にして公正証書にしておかれることをお勧めします。

2 財産分与及び慰謝料

財産分与は離婚後2年、慰謝料は離婚後3年以内であれば、離婚時に決めておかなくとも請求することは可能なのですが、離婚後に話し合いの場を設けることは難しいことが多いので、できることならば離婚届を提出する前に話し合っておかれるべきです。

なお、この財産分与及び慰謝料についても、上記の養育費同様に、最低でも離婚協議書を作成しておき、できることならその離婚協議書を原案にして公正証書を作成しておかれることをお勧めします。

メリット

協議離婚は、夫婦間で「離婚意思の合致」があることと、離婚の届け出(離婚届の提出)をすることによって成立するので、家庭裁判所で離婚調停(離婚調停は少なくとも数ヶ月かかります)を行うことに比べて時間が少なくすみますし、離婚調停を弁護士に依頼して遂行する場合(ご自身で遂行することも可能でしょうが)に比べて費用も少なくすむという利点があります。

また、離婚調停が成立しない場合(離婚自体及び離婚条件に合意できない場合)は、離婚訴訟に発展するわけですが、裁判ともなれば弁護士費用で相当な出費が強いられますし、時間もまた莫大にかかります。

つまり、協議離婚のメリットは時間と費用の節約と言えますので、「配偶者と話し合いなどしたくない」と思われたとしても、すぐに離婚調停の申立てを考えるのではなく、弁護士や行政書士などの専門家に相談しながら、協議離婚の道を探っていったほうが、早期に解決することも多いのです。

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